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バックパッカー旅日記~ロシア・樺太~ [バックパッカー]

かつては、僻地好きバックパッカーと称し、あまりメジャーではない国や地域を好んで旅行してきました。そんな旅日記集総集編へのリンク入口は下記になります。                                               http://elbram.blog.so-net.ne.jp/2009-09-08                                          

さて、ここでは紹介を兼ねてロシア、樺太編をUPします。                                              

樺太は、羽田から乗り継いでも所要2時間半。
稚内からわずか40kmのロシア。
いつぞやのCMを真似して言えば、「遠くの沖縄より近くのロシア」、という感じになるのだろうけれど、実際は「まだまだ近くて遠い土地、ロシア」というのが、正直な感想です。

樺太の玄関口、ユジノサハリンスク空港では、ターミナル連絡バスが、札幌市営バスのお下がりだったり、窓に謎の銃痕があったり、ドキドキとワクワクの連続でした。ここから極東ロシアの旅が始まります。

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千歳~ユジノサハリンスク間は、サハリン航空が就航。

歴史に翻弄され続けた異端の島は、日露戦争で、ロシアから日本になり、第2次大戦で再びロシアに召還されました。その度に、ある人は故郷を失い、ある人は故郷を得て、新たな歴史を刻んできました。

日本が「終戦60年」と唱えるならば、ロシアは「サハリン州生誕60周年」と謳う。                        事実は捉える側によって多様にその姿を変えていくのです。

戦後まで日本だった樺太に残された文化や慣習、建築、美術等が、新生ソ連の開拓者達に継承され、新しい文化、慣習とミクスカルチャーし、ロシア本土とはまた違う「独特なロシア文化」が形成されています。

日本の面影、強制抑留された朝鮮の人々の面影、シルクロード経由の中央アジアの面影・・・。ロシア人が住んでいるからこそ、かろうじてここがロシアである、ということを思い出します。                       残された日本建築に出入りするロシア人を見ていると、何とも言えない不思議な錯覚に陥いります。

ここ極東ロシアはソ連崩壊後、本土の民主化の波に遅れて、いかにも“カントリー”です。それが逆に素朴で人懐こい人柄を温存し、旅行者を気さくに受け入れてくれる土壌ともなっています。

もしも仮に、今なおこの地が日本だったならば、インフラも経済状況も今より遥かに発展していただろうに、と考えてしまいますが、樺太ののどかで穏やかな大地に降り立つと、きっとこれで良かった、のかも知れません。

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ユジノサハリンスクの市場にて。

冷戦期間の影響からか、ここでは英語が全く通じません。街に英語の表記もなく、全てロシア語表記。露会話集での片言のロシア語と、写真とジェスチャーとで何とかやり過ごしてきました。そのめちゃくちゃな、必死のコミュニケーションに付き合って、一緒に試行錯誤して対応してくれた現地の人達には、ただただ感謝の思いで一杯です。片言でも現地の言葉を話すことで、みんなの表情が和らいでくれるのがとても嬉しかったです。

「郷に入ったら郷に従え」というけれど、実際“郷”の方が日本人に合わせている観光地が多い中で、こんな近くに“従うべき郷”が残されていたことは、非常に貴重な体験だと思いました。

また、冬が厳しいせいか、あらゆる建物、商店は出入口が小さく二重扉で、さらに雪の照り返しを防ぐ為か、防犯上の理由からか、窓にもフィルムが貼ってあり何の店だか全く分かりません(なにせロシア語が分からないし・・・)。

試しに入ると、店内は意外に広く明るいです。
買い物をすると、僻地特有の事情だろうか、硬貨がほとんど流通していません。レジの中には10ルーブル札以下の硬貨は入っていなくて、それ以下のお釣りは切り捨て、省略されてしまいます。初めはボラれているのかと思ったのですが、現地の人も普通に「ない(ニェットゥ)」、「じゃあ(ダー)、ポイ(ポイ)」(ポイは「ポイ」らしい)、と話していたので、ごく普通のことのようです。

街を歩くと、旧拓殖銀行や旧樺太庁舎等の当時の日本の施設が保存、開放されている反面、そこにロシア人独特の日本観が加わって、何となく「ヘンテコな日本」になっているのが面白いです。旧日本の文化と歴史を残そうとしてくれた、新生ソ連開拓者達に感謝しながらも、「西側に付いた日本」の情報は少なく、彼らにとって正に「近くて遠い国」だったのでしょう。実際、突っ込みどころ満載なのです。

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旧拓殖銀行豊原支店。                                                            現在は美術館として開放されています。旧日本時代の書道の掛け軸や、着物、仏壇(!)には、驚かされます。あぁ、確かにここはかつて日本だったのですね。

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旧樺太庁舎。

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郷土資料館。                                                                 樺太時代の生活品や日露戦争時代の軍事品、島に生息する生物群の剥製等が展示されています。北緯50度、旧国境にあった石碑には仰々しい菊の御紋が記され、外には実際使用された砲台や日本庭園のレプリカ、狛犬とシーサーの合いの子のような置物があります。よく見るとどこか変。そういえば建物も微妙に朝鮮テイストが混じっています。


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資料館展示地図。ロシアにおいて、「北方領土問題」という概念自体が存在しないのです。4島が思いっきりロシア領になってます。

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博物館庭の狛犬レプリカと戯れるロシアの子ども達。あぁ、ロシアなんですね。

 

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駅前の鉄道博物館にて。当時のD-51や日本から寄贈されたディーゼル車が展示されています。実際にこの地で走っていたのですから、なんとも不思議です。

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中心部には、これでもかと言わんばかりのレーニン像が建てられています。さすがロシアです。

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私が着いた日は丁度お祭りだったようで、バスと綱引きなんてイベントをやってました。

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そんな樺太の路線バスはこんな感じです。美しいですね。

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スーパーに並んでいる豊富な魚介類には圧巻でした。キャビアも普通に並んでいます。安い!

そんなこんなで感慨深い樺太に滞在した後は、ハバロフスクまで飛びました。また機会があればハバロフスク編もUPしたいと思います。最後まで読んでいただいた皆様、ありがとうございました。

ちなみに、その他の国々をまとめた旅日記集総集編もあります。リンク入口は下記になります。                                               http://elbram.blog.so-net.ne.jp/2009-09-08        


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jara

ロシアをバックパッカー的に旅したいのですが、
ビザはどうされたのでしょうか?

個人自由旅行はまだ解禁されてないと思うのですが、、、
by jara (2010-01-31 18:53) 

elbram

>jaja様
ご訪問ありがとうございます。
旅行会社を通じてビザと政府に滞在中の予定を記したバウチャーを作成してホテルなどへ提出します。いつどこの街、ホテルにいるなどの制約はありますが、基本的に街中を自由に観光できますよ。参考になれば幸いです。
by elbram (2010-02-01 13:14) 

miu_maru

初めまして。 私も樺太にバックパッカーで出かけたことがあるなぁ・・・と思って、こちらのブログ拝見致しました。
私は稚内から船で渡ったのですが、北海道と似たような大地なのに、あまりにも貧しげで、ご飯がまずくて、かなり残念でした。
その後は飛行機でハバロフスクへ移動。その際、滑走路で各々自分の乗る飛行機を探して、自分で飛行機の荷物置場にチェックイン用リュックを運んだというのが印象的で・・・・お~流石ロシア!!!!って感じで感動しました(苦笑)
宜しければこちらのブログを。私も樺太のこと書いてます。
http://miu-maru.blog.so-net.ne.jp/2010-11-25-1

by miu_maru (2010-12-07 14:43) 

miu_maru

elbramさん、私のブログにniceを入れて下さり有難うございます。
この先月から一生懸命ブログを書いているのですが、まださほど慣れておらず・・。
初めてのniceだったので感激しておりました。
有難うございました。
by miu_maru (2010-12-10 09:04) 

elbram

miu_maruさんnice&コメントありがとうございました。各国の記事を興味深く読ませて頂きました。またお邪魔しますのでよろしくお願いします。
by elbram (2010-12-10 20:53) 

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