スポーツはメンタルだ [随筆]
なでしこジャパンのPK戦に代表されるように、スポーツのあらゆる場面で、メンタルという見えない神秘を感じずにはいられません。
そういえば私も学生時代に、スポーツでのメンタルに関する、思い出深い出来事がありました。一部事実に基づくフィクションの部分もありますがご了承ください。
私は部活で某球技をやっておりまして、ずっと補欠チームで練習していました。顧問は3年間、レギュラー組を入れ替えることなく、レギュラー組の練習メニューに沿って、補欠組が守備、攻撃を援護する形でした。
もちろんレギュラーは確実に上手な人たちです。だからこれは、本来ごく当然の練習形式なのかもしれませんが、学生時分にはたまらなく理不尽な思いを抱いたものです。下手だからと言えばそれまでなんですよ、確かに。
レギュラー組は、スタメンが半分確約のようなものですから、なんとなく、こう、補欠だからこそ敏感に感じ取ってしまう驕りがあったものです。
ある日の練習メニュー、
「レギュラー組vs補欠+下級生連合チーム、レギュラー組が50点差をつけるか、60分経過するまでの試合形式」
内容もちょっといかがなものかと思いますが、特に悔しかったのがあるレギュラーの一言。
「早めに50点取って休憩しよう」
完封勝ち前提です。確かに実力では、50点差が付くくらいの差はあります。ですがどうにも穏やかでいられません。私は下級生たちと一緒に円陣を組み、真剣に切り出しました。
「俺たちはなめられているんだ、俺はすごく悔しい。たのむから力を貸してくれ。60分試合をしよう」と。下級生は事情を知っていますから、全員力強く応じてくれました。
さて試合開始です。本来の力の差は歴然ですが、後輩みんな諦めずに走り、飛び、声を出して全力で戦ってくれます。私も声で手で応え、仲間を鼓舞しながら試合が進みます。思ったより点差が広がらないことに、焦りが出てきたレギュラーチームにミスが出てきます。喰らいつく補欠組、士気が高まり、声かけが絶えません。
そして審判の笛が鳴り響きました。結果は、6点差で60分時間切れです。
負けた補欠組でしたが、60分試合をやり切ったこと、わずか6点差に抑えたことに全員盛り上がり、まるで勝ったような騒ぎです。一方、勝ちきれなかったことや、わずか6点しか離せかったことに、あたかも負けたような雰囲気のレギュラー組。この時の痛快な出来事は、今こうして熱く振り返れるほどに、大切な思い出です。その後引退まで、結局補欠組であることには変わりませんでしたが、一回でも、レギュラー組に勝ったも同然(本当は負けだけど)の試合ができたことが嬉しくてたまりませんでした。共に戦ってくれた後輩たちにも感謝しています。
つまり、何が言いたいのかというと、「メンタルって大事だよね」ってことなんです。油断や慢心の中では、弱者の高い士気に強者が敗れることは多々あるんです。
なでしこジャパンのPKを見て、何となく思い出した部活での出来事を、徒然に綴ってみました。勝利のモチベーション、大切ですね。某サッカーチームにも届け。。。
体育会系ならではのお話、大変興味深く拝読しました。
補欠の選手にも、意地とかプライドとかはありますよね。
レギュラーの選手たちは、少しは懲りたのかな?
それで、elbramさんは司令塔的なポジションを担当されていたのですか?
elbramさんの頼みに応えて一生懸命頑張った後輩さんたちにも、惜しみなくnice!を進呈いたします(実際に押せるのは一度限りですが)。(`・ω・´)シャキーン
by tooshiba (2011-08-03 00:28)
tooshibaさんありがとうございます。
なんちゃって体育会系の身としてはお恥ずかしい限りです。
司令塔でも何でもない、しがないただの補欠です。
ここまで一度もレギュラーになったことがない人生ですが、それなりにやって来ました。野球は楽天、サッカーは大宮、ジャイアントキリングが大好きな私です。
by elbram (2011-08-03 21:41)