あだちイズム再燃のGW [趣味・生活]
手塚治虫、藤子不二雄、今映画で熱い赤塚不二夫・・・。巨匠漫画家についての自伝的作品、解説本、トリビュート本などは後を絶ちません。
そんな中で、近所の公立図書館で「あだち充解説本」を見つけました。あだち充関連は珍しいので、タッチ世代の思い入れ深い私は、迷わず借りてしまいました。
ナイン、タッチ、陽あたり良好、みゆき・・・etc.etc.。世代がばれますが、その辺までの作品をリアルタイムで読んだ後、あだち充からはしばらく遠ざかっていました。それが今回、懐かしさも重なって古本屋で、それら以降の作品を物色して大人買いしてしまうことに。以下、個人的見解でお送りしますので、ノークレームでお願致します。
あだち作品の特徴は、最低限に絞り込まれた台詞と情景描写で、行間を読ませて読者に判断を委ねる部分が多いのではないでしょうか。答えは一人一人の読者の中に―。小学生の私では意味もわからず、何となく読み飛ばしていたシーンが、大人になった今ではもっと違う意味を持って伝わって来ます。あぁ、ここでこの人はこう言いたかったんだ、こういうニュアンスを含んでいたんだ、と気づかされます。
それでもタッチの頃は、振り返ってみると個人的にはシンプルな設定だったように思います。
そして、先述のとおり今回買い漁った作品たちは、H2、ラフ、クロスゲームです。
- 作者: あだち 充
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2006/06/16
- メディア: コミック
もともとタッチやナインに代表されるように、当時は野球(&ラブコメ)マンガで台頭した方だと、勝手に思い込んでいました(もちろんそれ以外の名作も多数)。そんな中でラフは、水泳という野球以外の種目で、映画化までされる作品であったという点に感銘を受けました。今読んでも色あせていなかったです。
H2もアニメ化されましたが、当時はタッチの焼き直しかなくらいの気持ちで見ていませんでした。本作は、珍しく甲子園までも描かれていて、それ故に長期連載になったのも頷けます。主人公とヒロインが結ばれない結末もあだち作品の中では斬新だったと思います。
どちらも、それまでの作品から培われてきた「行間」をたっぷり読み取らせて頂きました。大人になった現在だからこそ、切なさを連れてリアルに伝わってきます。当時では難しかっただろうことも、今なら分かります。
極めつけはクロスゲーム。あだちイズムの集大成と勝手に崇めています。本作は結構な細かい設定が(珍しく)丁寧に成されていて、途中の設定訂正などもなく、伏線も丁寧に解決されていくので、とても気持ちよく納得しながら読破しました。個人的にはタッチを凌ぎ、ここまできて最高傑作が生まれたと思っています。
主人公のもどかしい恋愛風景が切ないあだち作品です。青春ってあんな風でしたね。研ぎ澄まされた台詞と、多分な含みを持った行間は、村上春樹を彷彿とさせます。タッチの頃から20年経過して再び手にしたあだち作品ですが、20年経った今だからこそ、より深く楽しむことができたのかもしれません。
まだ未読の作品も多数ありますから、近々大人買いしたいと思います。
良いと思います、大人買い。(`・ω・´)シャキーン
by tooshiba (2011-05-06 22:41)
tooshibaさん
ありがとうございます。
読みながら、「あの頃の少年の気持ち」を思い出しました。
あの頃と違うのは、「財力」でしょうか。。。
by elbram (2011-05-07 09:26)